「香りは紅茶、口当たりはまろやかでやさしく、後味は緑茶のよう。自然な甘さを感じられますよ。」そう話してくれた、茶来まつさかの中村さん。まだ知らない人も多い「和紅茶」は、緑茶用の茶葉を、紅茶と同じ工程で作り上げる新しい味わいで、モンテールの開発担当者も初めて飲んだ時に驚きました。繊細に香り、渋さも少なく、どこか和を感じる味わいは、色々な素材と合わせてもうまく混ざりあい調和するのではないかと感じました。
茶来まつさかの和紅茶は、朝晩の厳しい寒暖差が濃くまろやかな味わいを生み出す「伊勢茶」から作られています。中村さんは、「お茶の気持ちを数値で知ることをできないか」と考え、最新のデータ管理や機械化も柔軟に取り入れています。さらに気温・湿度・温度を計測し最適な環境に整え、茶栽培では珍しく糖度に至るまで管理し、成長具合に合わせて栽培しているそうです。茶来まつさかは平成19年に3つの個人農園を合併する形で法人としてスタートしました。中村さんは、さまざまな問題と真摯に向き合うために会社設立という道を選んだとお話してくれました。

特に放棄茶園は深刻な問題でした。後継者がおらず、そのまま放棄された茶園は次第に荒れていき、大量の虫や獣の住処になってしまいます。それは農地だけでなく、人の住むところにも影響が出てしまうなど様々な問題につながるそうで、中村さんの「農業がなくなると街がなくなる」という言葉が印象的でした。茶来まつさかでは、そうした放棄茶園の引き取りや、荒れる前に引き継いで農地として活用しています。働く環境も大きく改善しました。以前の収穫期は、週に数時間しか睡眠時間がないほど過酷な状況でしたが、働く環境を整え、農地をしっかり引き継いでいける組織へ変わってきました。今では世代を超えた多様なスタッフが集い、社名の通り「茶来＝茶の未来」を照らします。

「山積みとなった問題を次世代にこのまま引き継がせないようにしたい」持続可能な農業のあり方を模索する姿を見て、私たちは「この想いやこだわりの詰まったおいしい素材を、スイーツを通じてお届けしたい」と考えました。そして数十回の試作を繰り返し、辿り着いたのが「和紅茶のスフレケーキ」。繊細な香りとまろやかな味わいの和紅茶が口の中でふんわりと広がり、やわらかい生地の食感とチーズの味わいをアクセントに楽しんでいただけるスイーツに仕立てました。
中村さんにも試食いただくと…。
「チーズの味わいの後にふわっと和紅茶の香りが広がってびっくりしました。和紅茶は繊細な味わいなので、チーズとの組み合わせは意外でしたが、後からしっかりと和紅茶の香りと味わいが感じられて嬉しかったです。」