波照間産「黒糖」とは?
日本最南端の有人島である波照間島で昔ながらの製法で炊き上げた黒糖。様々な黒糖の中でも甘味や苦みなどの味わいのバランスが良く、まろやかなコクと豊かな風味が特徴です。
今回の“つなぐつづく”シリーズは波照間産「黒糖」を使ったたい焼です。
私たちが出会った素材・波照間産「黒糖」に込められた想いについて、
波照間製糖株式会社の西村さんにお話をお聞きしました。
日本最南端の有人島である波照間島で昔ながらの製法で炊き上げた黒糖。様々な黒糖の中でも甘味や苦みなどの味わいのバランスが良く、まろやかなコクと豊かな風味が特徴です。
波照間島にある黒糖工場を運営する企業。毎日100トン以上のさとうきびを搬入し、黒糖を製造しています。
「波照間産『黒糖』は甘味だけでなく、苦味や塩味、そしてコクのバランスが良く、お料理にも使いやすいんですよ。」そう話してくれたのは、波照間製糖株式会社の西村さん。モンテールの開発担当者も、波照間産「黒糖」は沖縄黒糖®の中で一番まろやかで、独特なうまみがあり、スイーツにも合いそうだと感じたそうです。「特にその風味は忘れ難いぐらい鮮烈だった」と語っていました。
そもそも黒糖とは、“さとうきびの搾り汁を煮沸濃縮して、加工しないで冷却したもの”と定義されているそうで、その中でも8つの離島で生産された黒糖だけが「沖縄黒糖®」として認定されます。特に波照間産「黒糖」は、伝統的な製法と文化を色濃く残しているからこそ、独特な味わいを楽しめるのだそうです。また、2023年は中国から沖縄に黒糖の製造法が伝来して400年の記念すべき年です。
今回の商品企画が立ち上がったのは、コロナ禍の最中でした。当時、黒糖業界は観光需要の減少をはじめ、さまざまな要因で在庫を抱えていました。波照間島の主要産業でもある黒糖作りは、この島ならではの伝統的な製法や文化によって支えられています。「コロナの影響で波照間島の産業・文化を廃れさせるわけにいかない。」そんな西村さんの想いに共鳴して、私たちモンテールは黒糖を和の素材とも相性の良い、定番の「わスイーツ」シリーズとして作れないかと考えました。
波照間産「黒糖」の味わいの秘訣は「鮮度」。収穫から原則24時間以内に加工を行っています。さとうきびの劣化を最小限に留め、風味を損うことなく加工するには「ユイマール」と呼ばれる、沖縄ならではの共同労働文化が欠かせません。
ユイマールとは、「結い」を意味する沖縄の方言で、農作業や、冠婚葬祭などにおいて、地域の家族でお互いを助け合う相互扶助の文化です。核家族化も進んだ現代では、8つの島の中で唯一、波照間島だけがユイマールで収穫作業を行っています。ユイマールと工場が密に連携することで、収穫を計画的に行い、鮮度の高いさとうきびで黒糖を作る事ができるそうです。収穫後は、濃縮されたさとうきびの汁を、熟練の職人が、一釜ごとの汁の状態や炊き上げ時間などを見極めながら、高温で一気に炊き上げます。これも「オープンパン方式」と呼ばれる伝統的な製法。この技術者が必要な伝統的製法も、工業化の波で省略されつつありますが、波照間島では、黒糖の品質を高める決め手となる工程として現在も残し続けています。
「私たちも生産者の皆さんも、一番おいしいと思う黒糖を作るために、伝統の製法にこだわり、このおいしさを残していきたいと思っています。」と西村さん。おいしさのために、鮮度や製法を大切にし高品質の黒糖を作られるお話にとても感銘を受けました。また、もう一つ私たちが驚いたのは、循環型の生産システムだということ。これは、8つの島にあるすべての製糖工場において、さとうきびを搾った繊維分(バガス)をボイラーの燃料にしたり、アクを肥料として活用したりすることで、廃棄物がほぼ出ません。離島産業において、限られた土地に廃棄物を出さないよう、SDGsが注目されるずっと前から工夫されてきた先人の知恵が詰まっています。
伝統と文化に支えられた、波照間産「黒糖」の味わいを「わスイーツ」シリーズとして仕立てるには、さまざまな工夫が必要でした。まず、私たちモンテールは味わいをそのままに感じられる黒糖ペーストを開発。そして、数あるクリームの中から黒糖ペーストと馴染みやすい、コクのあるカスタードクリームを組み合わせました。さらに、生地にも黒糖ペーストを練り込むことで、袋を開けた瞬間から波照間産「黒糖」の風味が香るようこだわりました。
出来上がったスイーツを西村さんにも試食いただきました。「開発中にモンテールさんの情熱を感じていたので、きっといいものになるだろうと思っていました。想像以上においしくて、あっという間に食べてしまいました。特に生地は口溶けがよく、ふわふわもっちりで波照間産『黒糖』とすごくマッチして驚きました。」
最後に今回の取り組みについてお聞きしました。
「“波照間産『黒糖』”というブランドで全国に届けられるのは、生産者も私たちも誇りに思っています。これをきっかけに沖縄黒糖®の魅力を知っていただけたら嬉しいです。今年は、黒糖の製法伝来400年記念で黒糖を盛り上げていけたらと思います。」
私たちも、スイーツを通じて、素材やこだわり、さまざまな問題を少しでも知ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。
想いを込めたおいしい素材が、これからの未来につづいていくためにも。
「伝来400年をきっかけに、沖縄黒糖®を知って欲しいと思っています」そう語る西村さん。
黒糖を支える文化や生産者さんの想いを感じながら、スイーツを楽しんでいただければ嬉しいです。
日本最南端の有人島・波照間島(はてるまじま)で作られた波照間産「黒糖」を使用した、たい焼きです。
洋菓子と和菓子のおいしさを1つにした「わスイーツ」シリーズから発売。なめらかにとろける黒糖ペーストとカスタードのコクが引き立て合います。ふわもち食感の生地にも黒糖ペーストを混ぜて風味良く焼き上げました。波照間産「黒糖」ならではの“まろやかなコク”と“豊かな風味”を余すことなく詰め込んだスイーツです。
波照間産「黒糖」本来のおいしさが凝縮された黒糖ペースト。生地とクリームとの口どけバランスも考え、なめらかな食感に仕立てました。
黒糖ペースト&カスタードの2層仕立て。さらに、生地にも黒糖ペーストを練り込み、風味豊かな味わいを楽しめます。カスタードは甘さを調整することで、黒糖の味わいがより引き立つよう仕立てました。
「ふわもちたい焼」生地ならではの食感が楽しめます。生地にブレンドされた黒糖ペーストが、ふんわり、もっちりとした食感にマッチして味を引き立てます。